●RACIチャートとは
責任分担表の1つ。各作業において各人が担う役割を一覧にした表。
●出題された回(平成29年度春期以降)
令和3年度春期
RACIチャートの説明
RACIチャートとは、責任分担表の1つで、各作業における、それぞれの人の役割を一覧にした表です。 RACIはそれぞれ次の意味を持ちます。
R(Responsible) | 実行責任 |
---|---|
A(Accountable) | 説明責任 |
C(Consulted) | 相談対応 |
I(Informed) | 報告先、情報提供 |
RACIの人がそれぞれ行うこと
R:実行責任
実行責任の役割を与えられた人は、プログラムの作成や単体テストの実施等、具体的なタスクを完了させる責任があります。
実行責任の役割を持つ人に必要なスキルは、タスク実行能力やタイムマネジメント能力です。定められた期限内に品質の良い結果を残す必要があるからです。
プロジェクト内に複数人いることが多いです。プログラマーは実行責任者に当たります。
A:説明責任
説明責任の役割を与えられた人は、プロジェクト全体の完了と品質に責任を持ち、他の役割を持つ人達に説明する必要があります。
説明責任の役割を持つ人に必要なスキルは、リーダーシップや決定力、コミュニケーション能力です。プロジェクトで起こる様々な選択に対して、意思決定を行うこと、プロジェクトメンバーやお客様に対して情報共有を適切に行う必要があるからです。
いわゆるプロジェクトリーダーが説明責任者に当たります。プロジェクト内に1人しかいないことが多いです。
C:相談対応
相談対応の役割を与えられた人は、プロジェクトで行うべきタスクについて専門的な知識を持ってアドバイスをする責任があります。
相談対応の役割を持つ人に必要なスキルは、専門知識とコミュニケーション能力です。専門知識を持って、相談に来た人に対して分かりやすくアドバイスをする必要があるからです。
各タスクについて意見や情報を共有し、プロジェクトの意思決定を行うこともあります。SEが相談対応に当たることが多いです。
I:報告先、情報提供
報告先、情報提供の役割を与えられた人は、プロジェクトの進捗や結果等についての報告を受けます。また、プロジェクトを実施するに当たって必要な情報を提供します。
報告先、情報提供の役割を持つ人は、情報を提供される立場になることが多いので、どうしても受け身になりがちですが、自分から積極的に情報を貰いに行き、その都度適切な情報を提供することが必要になります。
システムを納品するお客様が報告先、情報提供者に当たります。
プロジェクトに関わる人にそれぞれRACIの役割を与えることで、各人の責任と役割が明確になり、プロジェクトが円滑に進みます。
過去問
応用情報技術者 午前試験
令和3年度春期問52
表は、RACIチャートを用いた、ある組織の責任分担マトリックスである。条件を満たすように責任分担を見直すとき、適切なものはどれか。
〔条件〕
・各アクティビティにおいて、実行責任者は1人以上とする。
・各アクティビティにおいて、説明責任者は1人とする。
ア アクティビティ①の菊池の責任をIに変更
イ アクティビティ②の佐藤の責任をAに変更
ウ アクティビティ③の鈴木の責任をCに変更
エ アクティビティ④の田中の責任をRに変更
正解は”エ”
条件から各アクティビティの実行責任者(R)を1人以上、説明責任者(A)を1人にしないといけません。アクティビティ④には説明責任者が2人いるため、1人にする必要があります。よって、アクティビティ④の田中の責任をAからRに変更している”エ”が正解です。